5年ぶりに訪ねたNY
何の変わりもないどころか、街は前にも増して治安が良くなり随分綺麗になっていた
至る所に花が咲き乱れ、人々も活気に溢れていた
不安を胸に海を渡った私は少し安堵していた
あの場所を見るまでは・・・

悩んだ挙句やっぱり行っておかなくてはの気持ちに駆られ
ひとり降り立ったグランドゼロ
最寄駅はすべて閉鎖されたままだったのでrecter stで下車
目の前に広がったのは想像を絶する空虚な空間 建っていた頃よりもWTCの大きさを垣間見たような気がした
事実とはわかりながらも、嘘であって欲しいという願いからか
ずっとブラウン管の向こう側だけで起こっている事のような錯覚に陥っていたが
ここに来た途端一瞬にしてすべてが自分の中で現実になってしまった

Windows Of The World 世界一空に近いレストランで浮き足立ったまま食事した時には
雲の上から周りを見下ろしているような感じがして感動で涙がとまらなかった
食事をしながら見下ろした夜の摩天楼の美しさは、今でもしっかり胸に焼き付いている
93年のテロ直後厳しくIDチェックされ、挙句の果てにボヤ騒ぎで家族全員煙の中祈るような気持ちで降りたエレベーター
亡き父と一緒に360度のパノラマを満喫するため、はしゃぎながら何度もぐるぐる回った展望台
すべてがイッキに胸にこみ上げてきた
気が付いたら世界規模の悲しみの現場で、ワタシときたら個人的な思い出をただただ噛締めていた
でもそうなのかも知れない 降り立ってみて初めて個人ひとりひとりの悲しみの現場なのだと気がついた
ワタシは大切な思い出の場所が奪われたにすぎないが、
多くの人は愛する人の大切な命がこの場で一瞬にして奪われてしまったのだ
ひとりひとりの悲しみが少しでも癒されるように心から祈りをささげます





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