豊かな暮らしの中で
シルミチューを後に、
今度は旦那がアマミキヨ(男性の神様)のところへお参りに行き、
その後交代で車を出て集落を歩いた。
タイムスリップしたような街並みに心がしっとりと和んでゆく。
草を刈るカツンカツンという音が規則的に響き渡り、
その合間を縫って波音が静かに聞こえてくる。
フク木の隙間から見える海は太陽と溶け合い何色にも輝いている。
夕刻の訪れ知らせるように漂ってくる夕餉支度のいい匂い。
おばぁは草をむしる手を止めてこちらに向かって微笑んでくれる。
道ですれ違うおばぁやおじぃは身綺麗な方ばかりで、
穏やかな微笑みを浮かべて挨拶をしてくれた。
手入れの行き届いたサバニや漁師網、美しい庭や丁寧に作られたサン
(ススキ、芭蕉の葉、ワラなどを結んだ魔除←おばぁから聞きました)
を眺めているだけで、 美しく心豊かな浜比嘉の人々の暮らしぶりが充分に伺えた。
※兵庫県明石生まれで漁港にはちょっとうるさい旦那は(笑)
こんなに綺麗な漁港は見たことが無いと言っていた。
笑顔で穏やかに、目の前にあるささやかなことをコツコツと惜しみなく続ける。
そんな彼らの姿を見ていたら、
自分が生活の中で忘れかけていたことがハッキリとわかった。
ささやかなことをないがしろにしてしまっている自分の日常を省みながら、 集落に刻まれる静寂の時を、しっかり心に焼き付けようとしていた。
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昔オジーがよ サバニにゆられてよ 渡るこの海の 海の美しゃよ 昔オバーがよ パインの畑をよ 歩く姿のよ 姿の美しゃよ ゆらゆらと白い波が 遠くに消えたよ オジーとオバーのよ 景色も消えたよ 昔オトーがよ 鳴らした三線と 唄った島唄の 唄の美しゃよ 昔オカーがよ つむいだ糸でよ 織った上布のよ 上布の美しゃよ 夜が更け祭のあとが かすかに残るよ 上布も島唄も かすかに残るよ 昔ぬ美しゃや 忘れてゆくけれど 忘んな心ぬ 心ぬ美しゃよ 昔ぬ美しゃや 今も美しゃよ 共に語らな 浮世ぬ美しゃよ 共に渡らな 浮世ぬ美しゃよ 昔美しゃ今美しゃ/BEGIN
※この歌を聴くたびに
あの風景が目の前に浮かんで涙が出てきます。
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そこからの眺めはいいよ。と、おばぁが教えてくれました。 |
自分の在り方、家族の在り方、人と人との連鎖、生きる基盤、
わたしが思い悩んでいたこと、
その答えはとてもシンプルであった。
それをやさしく教えてくれた浜比嘉島という小さな島。
ここにたどり着けた奇跡に感謝の気持ちで胸がいっぱいである。
旅の道程で出会ったすべての人に、大きな自然に、
そして神様に、心からアリガトウ!
追記:
もっと早く帰るつもりであったが、あまりに居心地が良かったので、
ピンクに染まる薄雲が真っ黒になるまで
浜比嘉の公園に佇んでしまった私達。 途中伊計島まで足を伸ばしたが、
やっぱり恋しくなってすぐここに戻ってきてしまったほど浜比嘉ラヴに(笑)
沖縄に住んだら、きっとしょっちゅう通ってしまうだろうな。
※おかげで次の目的地北谷の滞在時間は、
正味12時間を切ってしまった。※睡眠時間含む(笑)
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